イマフラ

主にオススメの映像作品、本の感想を掲載します。

##2 かつて、彼女は『自動手記人形』と呼ばれた。

You Tubeにて京都アニメーション公式から劇場版の冒頭映像が特別公開されています。

www.youtube.com

この記事では、この冒頭シーン10分から私の目線で感じたことを書いていきます。
※私の妄想成分100%です

 

 

 以前私が書いた劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデンの感想はこちらです。

upuihicunu-ukgup.hatenadiary.com

 

My Point

この映画の一番良いところは、アニメ本編の視聴有無に関わらずヴァイオレット・エヴァーガーデンを理解できるところです。
冒頭10分シーンを未来から語り始めることで、非常に自然な形で視聴済みの方に新鮮さを与えつつ、未視聴の方にはきちんと本編を説明していますね。

地上波アニメの映画は、本編視聴ありきのものも多いと感じています。
なのでこのあたりが丁寧に作られていると好感が持てますね。

 

以下からは大事なシーンごとに区切り、その中で気になることを書いていきます。

 

sincerely

 本編を視聴済みの方にとっては言わずもがなの単語。
アニメ主題歌のタイトルにもなっていますね。「心から、切に」という副詞です。

 

 また、英語圏では日本でいう敬具と同じ使われ方をします。
手紙やメールの最後につける結び言葉ですね。

 

そう考えると、この言葉が冒頭にくるというのは少し不自然な感じがします。
おそらくこの映画のラストシーンと順番が入れ替わっているのだろうと推測しています。

 

窓から外を眺める少女

 劇場版のもうひとりの主人公であるデイジーの登場です。
窓越しに映る彼女は物憂げな表情を浮かべています。

 

ここではフレームインフレームという構図が使われていますね。
(画面)フレームの中に(窓)フレームで人物を写し抑圧された感情をほのめかす。
この構図はこの公開冒頭映像後にも見られます。

 

この家のカット(特にサンルーム)で勘の良い方はここがマグノリア家であるということに気づきますね。

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家の中の様子

ラジオや蓄音機といった時代を感じさせる機器たち。
おばあちゃんと母親、娘の家族写真が映ります。
お父さんが写っていないのが気になりますが、仕事の都合で来ていなかったのかたまたまなのかは分かりません。

 

家族の会話からアンが亡くなったという事実を、私達はここで初めて知らされます。
また、「急だったな」という台詞から、アンがそれまで家族に心配をさせないように気を使う人物だったのだなと考えております。 
これはアニメの10話の印象からそう解釈しています。

部屋の中にアンの人形達があります。
月日が経っているので少し埃がかぶっていますが、欠損は見られないので大切に保管してあったんでしょうね。 

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家族の会話

家族と会話するときのデイジーの言葉は少し棘がありますね。
母親と少しすれ違っているような印象をうけます。思春期ですかね。

 

個人的には仕事が忙しく、なかなかおばあちゃん(アン)と接せれなかった母に対して、自分とおばあちゃんの感情を混同しているのではないかなと思います。
母の「私はおばあちゃんも、それからあなたのことも大事に思っているわ。」の台詞から、裏を返せばデイジーにはそれが上手く伝わっていないことも分かりますね。


パンフレットによるとデイジーの母と父は医療関係者です。この少し後に父が言う「患者さんが待ってる」からもそのことが分かります。


ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝で、CH郵便社のドールであるアイリスが、結婚後は仕事を辞めて主婦になるのがドールの花道だと語っていました。
デイジー母は結婚後も働いているので、そこも時代の流れを意識させているのでしょうか。(職種が違うのでなんとも言えません。)

 

全体的にマグノリア家は育ちが良いように見受けられます。
言葉遣いがみんな丁寧で、口調も穏やか、父が席から立つときスーツのボタンを律儀に留める仕草からもそう感じます。

 

そして、デイジーは古い手紙を手に取ります。
かつて手紙を代筆するドールという職業があったのだと父から語られます。
アニメ本編の話がここでは過去のものであると決定付けられます。

サンルーム

 全体的に暗めの映像が続いていましたが、明るいサンルームによって画面にフレッシュな光が感じられます。


デイジーのまたお母さんに辛く当たってしまったとの言葉がでます。
10話のアンとお母さん(クラーラ)の関係性が蘇ってきます。
デイジーとアンが似ていることをここで表現したのでしょう。


アンは母親の命が長くないことを小さいながらも精一杯受け止めていました。
それが分かっていながらも、自分が母に甘えようとするから辛い思いをさせてしまっているのだと吐露していましたね。健気で早熟な子であったと言えるでしょうか。

 

手紙

古びた箱に大切に保存されていたのは、10話で母からアンに当てられた40通のバースデーレターです。
映る手紙の内容は少しだけ解読したのですが、声に出して読んでいるものほぼその通りでした。
紙に濡れた痕がありますが、アンがこれを読んだときにこぼれた涙ですね。

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ここでデイジーはアンが母にとても愛されていたことを理解し涙します。
アニメ視聴済みの観客とデイジーの気持ちが重なる瞬間ですね。

そしてデイジーはヴァイオレット・エヴァーガーデンというドールの切り抜きを発見します。
この切り抜きはおそらくアンが10話のあとに手に入れたものだと考えています。
「私も手紙を書いてほしかったな」という台詞もありましたからね。

空を舞う手紙

 風に飛ばされて手紙がサンルームの天窓をくぐり抜けます。
全体的に小さい部屋のカットが続いたので、画面いっぱいに広がる野原に開放感を覚えますね。

 

アンの家がレッヘルント(図10番)にあります。
電波塔のあるライデンが(図3番)にあります。
ライデンの港の方からやってくることを考えると、切り抜きは大回りしてたどり着いていることになると思います。

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そしてアニメ本編で描かれたヴァイオレットの功績が語られ、タイトルコールで冒頭シーンのENDです。

 

最後に

 細かく見つめようとすればするほど味わい深い作品ですね。世界観設定が魅力的です。もう売り切れていますが、公式設定本を読み考察するのが楽しいです。

kyoanishop.com



画像出典:①、②、③→劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン本編冒頭シーン特別10分公開より

            ④→ヴァイオレット・エヴァーガーデン公式ホームページより